愛の終わりに
愛の終わりに向き合えるのは、終わってからずっと後のような気がする。
もう戻れない、戻らない、それが確かになったときにやっと、見つめられる気がする。
日常のなんでもない名詞をタイトルにつけがちな歌手ことaikoが歌う「線香花火」
久しぶりに聞いたら心がえぐられた。
ぽとっと落ちて地面に溶けていく火種と、
手の中に残ったみすぼらしい持ち手。
愛の終わりは見えなくて、今思い返したらあああそこが終わりだったのかと気づく。
今気づいたところで、みすぼらしい持ち手は取っておくことなんかできないんだけど。
愛はいつか終わる、だから嫌です
何度目の告白をそんな風に突っぱねた。
そしたらあの人は、「そんなことはないって証明してみせる」と言って、そんな胡散臭い自信過剰な言葉にぐらつくくらいには多分もう、好きになってた。
結局、違う子を追いかけて去って行ったひと。
愛の終わりに、わたしたちはなにができるだろう。
愛してた人と、愛してた時間の背中を見送るしかできない。
愛の終わりのその時に、できることはなにもないけど、愛おしかったという事実だけは忘れていきたくない。